パリ ああ無情

おしゃれじゃないパリの日常

ヌヌ 完璧なベビーシッター

2016年にゴンクール賞を受賞した作品よ。映画化されたのをちょいと前に見たわ。

 

当地では女性人口の80パーセントが労働しているのでワーママも多いわけで、保育所に入れない場合はヌヌと呼ばれる子守の方に一日中お世話してもらうの。

従事している方々はフィリピンやアフリカの方が多いかしら。

 

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子守のマダムが一家の信頼を勝ち取り、やり過ぎて破滅してしまう話なの。

主人公は一人暮らしの中年女性。

郊外からパリまで出勤して朝から晩まで子ども二人のお世話をしたり、空いた時間でお掃除をしたりして夫婦の信頼を勝ち得、ヴァカンスまで一緒に連れて行ってもらえるという、よく出来たヌヌさんが何故二人の子どもを殺すに至ったのか?

 

時々いる、人との距離感がわからない人のように思えたわ。

 

私も子供が小さいうちは子守を頼んでたから、結構思い当たる節がありゾッとしたり。

 

原作の小説も読んだけど、映画と反対で最初に事件を持ってきてるのね。物語の核は事件ではなく、マダムが罪を犯すまでのフランス社会の歪みとそれに伴う人間関係だから。

カリン・ヴィアールが真っ裸になって熱演してたわ。

 雇用者夫婦はどちらかと言えばキャリア志向の弁護士見習いと音楽関係者でボボの様だわ。

 

ここでも格差社会が背景にあるのよ。持てるものと持たざる者の間に塞がる長くて深い川。

ヴァカンスに行けないとかそういうレヴェルの話では無く、住む家から着るもの食べるもの行くカフェまでに階層の違いが出るのね。

賞味期限が切れたヨーグルトを子どもに食べさせるか食べさせないかで争いが起きてしまうの。

 

 作家はモロッコ人女性。

アメリカで起こった実際の事件から想起された話だそうよ。

 

私は留守中に家に入られたのをきっかけに子守をお断りしたの。

留守中に空気の入れ替えなんかしてもらわなくても全然困らないのに、言い訳がましく御託を並べてたから。

 

主人公の女性と同じ様に、事情があって自分の子供と生き別れになっていた方で、すごく子供を可愛がってくれたことは今でも感謝しているけど。

でもそれとこれは別の話な訳で。

 

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